フリーランス法の解説explanation

2025年度のフリーランス法違反事例(後編)

2026.3.11
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  • #違反事例

3 中部電力に対する勧告事例

(令和8年2月27日)中部電力株式会社に対する勧告について | 公正取引委員会

(1)事案の概要
 中部電力は、フリーランスに対し、総務・広報、人事・労務、経理・法務、研究・開発、設備の管理・評価等に関する支援業務を委託(以下、本「3」において「本件業務委託」といいます。)しています。
 中部電力に対して、フリーランス法違反が認定されたのは、以下の3つの行為です。

①2024年11月1日から2025年9月17日までの間、フリーランス39名に対し本件業務委託をした際に、直ちに、明示事項を、書面又は電磁的方法により当該事業者に対し明示しなかった。 

②上記の期間にフリーランス12名に対し本件業務委託をした際に、報酬の支払期日を定めておらず、役務の提供を受けた日までに報酬を支払わなかった。

③上記の期間にフリーランス2名に対し本件業務委託をした際に、当該フリーランスから役務の提供を受けた日から起算して60日を超えて報酬の支払期日を定め、当該フリーランスから役務の提供を受けた日から起算して60日を経過する日までに報酬を支払わなかった。

(2)勧告の概要
 中部電力に対する勧告の概要は以下のとおりです。

①次の事項を取締役会の決議により確認すること
・前記(1)①の行為が、フリーランス法3条1項の規定に違反するものであること
・今後、フリーランスに業務委託をした場合に、直ちに、明示事項を、書面又は電磁的方法により当該フリーランスに対し明示すること
・前記(1)②③の行為が、フリーランス法4条5項の規定に違反するものであること
・今後、フリーランスに業務委託をした場合に、当該フリーランスに対し、フリーランス法4条1項の規定により定められた支払期日までに報酬を支払うこと

②2024年11月1日(フリーランス法施行日)から2026年2月27日(勧告日)までの間に、本件業務委託の内容と同種又は類似の内容の業務委託をしたフリーランスとの取引について、フリーランス法3条1項及び同法4条5項の観点から問題なかったかを調査し、問題が認められた場合には、フリーランスとの取引の適正化のために必要な措置を講ずること

③以下について、自社の役員及び従業員に対するフリーランス法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
・今後、フリーランスに業務委託をした場合に、直ちに、明示事項を、書面又は電磁的方法により当該フリーランスに対し明示すること
・今後、フリーランスに業務委託をした場合に、当該フリーランスに対し、フリーランス法4条1項の規定により定められた支払期日までに報酬を支払うこと

④上記①から③に基づいて採った措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること

⑤上記①から④に基づいて採った措置を取引先のフリーランスに通知すること

⑥上記①から⑤までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること

(3)解説
 前記(1)①の行為は取引条件の明示義務違反、②③の行為は期日における報酬支払義務違反に当たります。①②は前記2と同じですが、③は、一部のフリーランスとの間では、報酬の支払期日自体は定めていたものの、支払期日がフリーランス法に則ったものではなかったという事例です。
 発注事業者は、物品等を受領した日又は役務提供を受けた日から起算して60日以内に支払期日を定め、その日までに報酬を支払う義務を負い、60日を超える支払期日を定めた場合、60日を経過する日が支払期日となることに留意する必要があります。

4 おわりに

 フリーランス法違反で勧告又は指導が行われた事案は、取引条件の明示義務違反及び期日における報酬支払義務違反がほとんどです。フリーランス法施行後も、フリーランスに対して発注する際に、書面や電子メール等で明示事項を示すことなく口頭で発注している事業者や、書面等で明示はしているもののその内容がフリーランス法に則った内容になっていない事業者がまだまだ存在することが窺われます。例えば、支払期日は具体的な支払日を特定しなくてはならず、「●年●月●日まで」という記載では許容されない(「●年●月●日」と記載しなくてはならない)など、細かいルールがあるため、発注事業者は留意が必要です。

 本稿で取り上げた発注者の義務の詳細については、「フリーランス法のポイント解説~適用対象と発注者の義務編~」をご覧ください。